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【儲かる工場の作り方 】 第二話「ローコストオートメーション」

ローコストオートメーション
兵法「草木皆兵」

 以前ワールドカップサッカー予選で,アウェーで戦う日本代表の応援団は両手に膨らませた青いゴミ袋を持って応援したという.応援団席が青一色に染まれば,大勢の応援団が詰め掛けているように見える.アウェーの不利な戦況を一掃しようというわけだ.
 これは「草木皆兵」を兵法として応用した戦術だろう.この戦術が工場にも応用できるだろうか?

人海戦術は時代遅れ

 先日訪問した工場は,製品の組み立てラインにたくさんの作業員が並んでいた.しかしよく見ると三人に一人しか作業をしていない.どうもこの工場の中国人経営者は「草木皆兵」の戦術で我々を感心させようと考えたようだ.
 しかし人海戦術でのモノ造りは既に時代遅れだ.中国はもはやローコスト生産国ではない.いかに省人化し効率を上げてモノ造りをするかが鍵となる.
 品質についても同様だ.ヒトのばらつきが作業のばらつきになる.作業のばらつきが品質のばらつきだ.従って作業員が多ければ多いほど品質のばらつきも大きくなる.
 では完全自動化ラインを作って作業員を極力排除すればよいかというとこれもまた違う.

自働化でローコストオートメーション

規格商品が売れた時代は,同じ物を大量に生産していればよかった.しかし消費者の嗜好が多様化した現在は規格商品を大量に生産しても安価でしか売れない.
消費者の好みの変化に合わせ売れる分だけを生産する.このような生産には完全自働化ラインは向いていない.高い投資をして導入した設備だ.経営者はどうしても投資効率が気になる.「稼動率を上げろ!」と号令をかけて売れない物を大量に作ることになる.
稼動率を決めるのは工場ではない.稼働率はお客様の注文が決める.工場が決める事ができるのは「可働率」だ.
可働率を高めるために,ヒトの働きと機械の動きを調和させる.これがニンベンの付いた「自働機」だ.ヒトが主役になって設備が動く.これが自働化だ.そしてそれを安い設備で実現するのがローコストオートメーションだ.
コストの安い材料,設計を使って設備の導入コストを抑えるのはローコストオートメーションとは呼ばない.「自働化」の思想を盛り込んだモノがローコストオートメーションである.
例えば三人の検査員が分担していたのを半自動検査機に置き換える.検査員は検査時間の手待ちの間に別の作業をする.これで四人の作業員を一人に省人化できる.






本コラムは香港,中国華南地区で発行されている月刊ビジネス雑誌「華南マンスリー」2009年7月号に寄稿したコラムです.


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