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モノ造りの分担

あとで読む 日本の発展を支えてきたのは,間違いなく製造業だった.しかしモノ造り日本の地位を中国に奪われた感がある.GDP(国内総生産高)第二位の地位も中国に明け渡すことになりそうだ.

 日本のモノ造りは,高品質・高機能の物を,コストダウンし大量に作ることに精力を集中してきた.
 その結果,物と一緒に「貧乏」も大量に生産することになった.

 日本におけるモノ造りの戦略を考え直す必要がある.
モノ造りの分担

 図はモノ造りを,設計技術(商品を設計する技術)と製造技術(製品を製造する技術)の2軸で考え,4つのカテゴリーに分けてみた.
 つまり商品,マーケット,ビジネスを作り出す創造的技術と,生産方式やモノ造り技能などを作り出すテクノラート技術だ.前者はR&D(研究開発),後者をT&M(テクノラート&マイスター)と言ってよいだろう.

領域1:
 高度な設計技術と高度な製造技術を必要とするモノ造り.例えば,モノを作るための生産設備などである.先端のモノ造りをするための設備には,先端の先を行く設計技術と,モノ造りをするための精度の1桁2桁上を行く精密な加工技術が必要になる.この分野は,日本で死守したい領域だ.

領域2:
 設計技術は高くないが,高度な製造技術を必要とするモノ造り.例えば,日本の職人が代々受け継いでいる技能・技術である.日本にはこの領域の優れた技能・技術がある.これは日本で伝承して行くべき領域だ.

領域3:
 設計技術は高いが,製造技術は高くないモノ造り.例えば,CPUの設計には高度な設計技術が必要だが,PCの生産にはたいした技術は必要ない.必要な生産設備を買ってくれば生産可能となる.この様なモノ造りはどこで生産しても同じである.大きな市場を持つ中国で生産するのが合理的だ.

領域4:
 設計技術,製造技術ともに低いモノ造り.例えば,規格大量生産品などのコスト勝負の製品だ.この様なモノ造りは,ローコスト生産国で生産しなければ,利益が出ない.


 領域2のモノ造りは,日本では職人が代々技能・技術を伝えてきた.しかし一方で,高度な加工技術の「大衆化」が起こっている.ノートPC・MacBook Proの筐体はアルミ削り出しであるが,中国で生産している.NCマシンを持っていれば加工可能となった.

 例えば金属の鏡面加工.iPodの鏡面加工は,新潟の小林研業が加工していた.しかし今では中国の職工でも加工可能だ.
 小林社長は発想を転換する.

「私のところは、もっと難しい研磨に挑戦するだけよ。要求以上の品質で磨いて、製品のグレードを高める付加価値商売なんです。誰でもできる汎用品ばかりを手がけていたのでは、とうに潰れていたからね」

そして小林社長は,事業を少量高付加価値の生産に切り替えた.
「ナベ、カマの汎用品をやっていたんじゃ、中国に負ける。もっと複雑で小ロットの工業部品の研磨に転じよう。これだったら、高度な手わざが生かせるはずだ」と決めると、4000万円をかけた自動機を売り飛ばしてしまった。機械による工程の自動化を突き詰め、現代的な大量生産を推し進めるか、それとも、家内制手工業の枠にとどまりながら、精緻な技術を強みにするか、それは大きな岐路だった。

 この様に明確にモノ造りの領域を絞り込んで,職人が持っている技能・技術を日本に伝承してゆかねばならないと考えている.


引用は「あっぱれ!ニッポンの技術 頭は帽子をかぶるためにあるんじゃない――技能とアイデアの「磨き屋」魂 小林 一夫氏」から.

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