« 第七章:人材育成を支える仕組みと仕掛け | Main | 第九章:看える化 »

第八章:信用と信頼

あとで読む

伝説の経営者・原田則夫の“声”を聴け!
工場再生指導バイブル

信用とは信じて用いること.
信頼とは信じて頼ること.
上司は部下を信用し,部下は上司を信頼する.この信頼関係が組織を強くする.

犬の散歩
原田氏は,従業員の育成を「犬の散歩」に喩えることがあった.犬と言う動物は,好奇心がとても強い.散歩に行けば,あちこち寄り道をしたがる.「犬の様に働く」「犬死」などというネガティブな喩えは犬に対して大変失礼だ.犬の様に好奇心を持って仕事をすれば楽しいに違いない.
しかし原田氏の喩えは別の趣旨がある.犬が危ない所に行かない様に常にリードを引っ張っていれば,飼い主は疲れるし,犬は不満だ.自分の愛犬を信用してやれば,一歩下がって自由に歩かせることが出来る.本当に危ないときだけ引っ張ってやれば良いのだ.
部下が悪いことをすると思えば,きっとそうなる.部下には出来ないと思えば,きっと出来ない.部下とは,あなた自身を映す鏡だ.まずは部下を信じること.信用とは,信じて用いると書く.部下を信じて仕事を任せることだ.
部下を信用できる上司は,部下から信頼される.立場を変えてみれば,簡単に理解できることだ.あなたは自分を信用してくれない上司を,信頼するだろうか?

信用と信頼の違い
部下は信用すべきだが,信頼してしまってはダメだ.つまり部下は信じて用いる.ただし信じて頼ってはダメ.いわゆる丸投げ状態ではダメと言うことだ.
場合によっては,失敗して痛い目に合うのも成長に必要なことだ.人は成功より失敗から多くを学ぶ.致命的な失敗にならなければ,見守っていた方がよい場合もある.
部下を信用し仕事を任すが,仕事の責任は上司にある.従ってミスが,顧客に影響を与えそうになったら,速やかに対応策を打つ.または,ミスが発生しないようにしておく.ミスの発生がすばやく認知できる様にして置くなど,事前に仕掛けを用意しておかねばならない.
言ってみれば,散歩の時にリードを持っている,リードを引く準備をしておくことが重要だ.

部下を信じる力
「原田則夫指導語録」の一節に原田氏が部下をどの様に信じていたかを示す逸話がある.
原田氏の元秘書は,当時まだ二十歳を超えたばかりの元作業員の女性だ.原田氏は,彼女を山東省にある大手電機メーカに転職させている.転職後ほどなく,この会社の総経理が,SOLID社を見学したいと申し込んできた.この申し入れを原田氏は断っている.
この時原田氏は,元秘書が転職先の問題点を整理し,それを改善できていない,と叱っている.彼女は,ただSOLIDは素晴らしいとしか伝えていない.だから総経理が自分の目で見に来るしかないのだ.まずは自分で行動せよ.それでもダメならば,いつでも相談に戻って来いと指導している.
原田氏の元で仕事をしていたとはいえ,年若い女性に対して,転職先企業の問題点を整理し,改善できていないと叱っている.
原田氏が彼女を信じているから,このような叱責が出る.そしてそれは彼女に対する期待だ.
また,成型部門の部長は,浙江省にある金属加工メーカの改革のために請われて転職している.たった一人で,人事部長として乗り込んだ.当然古株従業員たちの抵抗に遭い,改革は進まない.一ヶ月経って,彼は原田氏に進捗を報告し相談したが,社長と相談しなさいと叱られている.
二人とも,信頼する原田氏から信じられている,期待されていると実感するから,最高のパフォーマンスを発揮する.


本コラムは香港,中国華南地区で発行されている月刊ビジネス雑誌「華南マンスリー」2011年3月号に寄稿したコラムです.

原田式経営哲学勉強会を開催しています.
詳細は,ブログ:原田式経営哲学をご参照ください.




人気ブログランキングへ

|

« 第七章:人材育成を支える仕組みと仕掛け | Main | 第九章:看える化 »

華南マンスリーコラム」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 第八章:信用と信頼:

« 第七章:人材育成を支える仕組みと仕掛け | Main | 第九章:看える化 »