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第八章:信用と信頼

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伝説の経営者・原田則夫の“声”を聴け!
工場再生指導バイブル

信用とは信じて用いること.
信頼とは信じて頼ること.
上司は部下を信用し,部下は上司を信頼する.この信頼関係が組織を強くする.

犬の散歩
原田氏は,従業員の育成を「犬の散歩」に喩えることがあった.犬と言う動物は,好奇心がとても強い.散歩に行けば,あちこち寄り道をしたがる.「犬の様に働く」「犬死」などというネガティブな喩えは犬に対して大変失礼だ.犬の様に好奇心を持って仕事をすれば楽しいに違いない.
しかし原田氏の喩えは別の趣旨がある.犬が危ない所に行かない様に常にリードを引っ張っていれば,飼い主は疲れるし,犬は不満だ.自分の愛犬を信用してやれば,一歩下がって自由に歩かせることが出来る.本当に危ないときだけ引っ張ってやれば良いのだ.
部下が悪いことをすると思えば,きっとそうなる.部下には出来ないと思えば,きっと出来ない.部下とは,あなた自身を映す鏡だ.まずは部下を信じること.信用とは,信じて用いると書く.部下を信じて仕事を任せることだ.
部下を信用できる上司は,部下から信頼される.立場を変えてみれば,簡単に理解できることだ.あなたは自分を信用してくれない上司を,信頼するだろうか?

信用と信頼の違い
部下は信用すべきだが,信頼してしまってはダメだ.つまり部下は信じて用いる.ただし信じて頼ってはダメ.いわゆる丸投げ状態ではダメと言うことだ.
場合によっては,失敗して痛い目に合うのも成長に必要なことだ.人は成功より失敗から多くを学ぶ.致命的な失敗にならなければ,見守っていた方がよい場合もある.
部下を信用し仕事を任すが,仕事の責任は上司にある.従ってミスが,顧客に影響を与えそうになったら,速やかに対応策を打つ.または,ミスが発生しないようにしておく.ミスの発生がすばやく認知できる様にして置くなど,事前に仕掛けを用意しておかねばならない.
言ってみれば,散歩の時にリードを持っている,リードを引く準備をしておくことが重要だ.

部下を信じる力
「原田則夫指導語録」の一節に原田氏が部下をどの様に信じていたかを示す逸話がある.
原田氏の元秘書は,当時まだ二十歳を超えたばかりの元作業員の女性だ.原田氏は,彼女を山東省にある大手電機メーカに転職させている.転職後ほどなく,この会社の総経理が,SOLID社を見学したいと申し込んできた.この申し入れを原田氏は断っている.
この時原田氏は,元秘書が転職先の問題点を整理し,それを改善できていない,と叱っている.彼女は,ただSOLIDは素晴らしいとしか伝えていない.だから総経理が自分の目で見に来るしかないのだ.まずは自分で行動せよ.それでもダメならば,いつでも相談に戻って来いと指導している.
原田氏の元で仕事をしていたとはいえ,年若い女性に対して,転職先企業の問題点を整理し,改善できていないと叱っている.
原田氏が彼女を信じているから,このような叱責が出る.そしてそれは彼女に対する期待だ.
また,成型部門の部長は,浙江省にある金属加工メーカの改革のために請われて転職している.たった一人で,人事部長として乗り込んだ.当然古株従業員たちの抵抗に遭い,改革は進まない.一ヶ月経って,彼は原田氏に進捗を報告し相談したが,社長と相談しなさいと叱られている.
二人とも,信頼する原田氏から信じられている,期待されていると実感するから,最高のパフォーマンスを発揮する.


本コラムは香港,中国華南地区で発行されている月刊ビジネス雑誌「華南マンスリー」2011年3月号に寄稿したコラムです.

原田式経営哲学勉強会を開催しています.
詳細は,ブログ:原田式経営哲学をご参照ください.




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