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第九章:看える化

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伝説の経営者・原田則夫の“声”を聴け!
工場再生指導バイブル


問題を解決するためには,まず問題を特定しなくてはならない.つまり問題解決能力と共に,問題発見能力が必要だ.再生が必要な工場は問題点が山ほどあるが,それが従業員に見えていない状態となっている.

ボーリングと仕事
原田氏の部下指導には独自の切り口があった.例えば「看える化」を教える時に,「ボーリングと仕事のどちらが楽しいか?」と質問する.当然ボーリングの方が楽しいに決まっている.ではなぜボーリングの方が楽しいのか?この問に明確に答えられる人を,私はまだ見たことがない.
原田氏の指導はこうなる.
ボーリングはその成果が,スコアとして直ちに見えている.自分の得点が今何点で,相手が何点.相手に勝つためには後何点取れば良いか.こういうことがスコア表の中に全て見えている.
しかし仕事の方はどうだろう.往々にして,仕事の成果は時間が経たなければ見えない.今日やった仕事が成果として見えるのは,一ヵ月後と言うことがよくある.
従業員の立場からすれば,毎日こつこつと働いて,ようやく年に一回の考課で評価され,給与が上がる.こういう状況では,なかなかモチベーションを維持することが難しい.楽しいとはいえないだろう.
しかし毎日の仕事の成果を看える様にする.そうすれば,毎日仕事の達成感がある.またはその日に達成できなかったことを,次はどう改善し達成するか挑戦できる.この様に毎日の達成感と,挑戦意欲を看える化によって引き出せば,仕事もボーリングと同じように楽しいはずだ.

何でも看える化
原田氏が経営するSOLID社では,何でも看える化してあった.
購入部品の価格を看える化することにより,部材購入担当者と,納入業者の癒着を防止する.同時に価格を公開することにより,新規納入業者からの提案が多く集まる.事実SOLID社は,OEM顧客が羨ましがる様な,ベンダーリストと,その価格表を持っていた.
全従業員の給与も看える化してある.これにより,公平感・公正感が高まる.むしろ逆に,全従業員の給与を公開しようと決めた瞬間に,不公平・不公正な処遇は出来なくなる.
設備の営繕が行われている時も同様に看える化をする.作業現場には,誰がどんな仕事をしていて,いつ完了するか,必ず看板が出ている.
「原田則夫指導語録」にも,看える化に関する指導が記録されている.総務部においてあるカラープロッターが故障しているのを見つけた原田氏は,すぐ関連メンバーを集め指導をした.カラープロッターの横には,故障中であることと,修理完了見込みの日にちを書いた貼り紙があった.これだけでは足りないと言うのが原田氏の指導だった.
カラープロッターを使おうと,総務部まで来た人は,貼り紙を見てカラープロッターが使えないことを知り途方に暮れる.カラープロッターは社内に1台しかないからだ.貼り紙に,プロッターを持っている近隣の印刷屋さんの電話番号を書いておけば,途方に暮れることはない.
要は「看える化」も,相手の要求を理解し,サービス精神を発揮しなければならない.

看える化は見える化にあらず
ところで既にお気付きと思うが,私は「看える化」と表記している.「見える」「視える」「観える」「診える」ではなく「看える」と書いている.それは,一生懸命観察したり,注視したりしなくても,対象の方から看板の如く目に入って来る様にする,と言う意味をこめたつもりだ.


本コラムは香港,中国華南地区で発行されている月刊ビジネス雑誌「華南マンスリー」2011年4月号に寄稿したコラムです.

原田式経営哲学勉強会を開催しています.
詳細は,ブログ:原田式経営哲学をご参照ください.




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