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第十章:記録する文化

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伝説の経営者・原田則夫の“声”を聴け!
工場再生指導バイブル


強い組織を作るためには,まず強い個人を育てる必要がある.そして個人の経験,能力を個人だけに帰属させるのではなく,組織に蓄積させなければならない.マニュアルはそのナレッジマネジメントのひとつだ.

SOLID社のマニュアル文化
SOLID社には,膨大なマニュアルがある.これらのマニュアルは,原田氏の指示で作られたものでも,専門のマニュアル作成者が作ったものでもない.
従業員がそれぞれに,仕事を通して得た成果の記録が,マニュアルとなっている.原田氏は,日々の仕事の成果をまとめ,記録することを教え,それを組織風土としただけだ.
仕事をまとめる作業により,仕事の意義・成果を再確認することが出来る.つまりもう一度仕事を追体験することになる.追体験により,仕事中には得られなかった,気付きを得ることもある.記録をすることにより,2度以上仕事をしたのと同じ効果が得られる.
仕事による成果・自己成長を記録することにより,自己成長を可視化出来る.可視化することにより,目標に対する自分の現在位置が明確となり,更なる成長への計画と準備を持つことが出来る.
各自が仕事を通して得た暗黙智を,記録することにより形式智とする.この形式智の集まりがマニュアルとなる.
会社への貢献よりも,自己成長を重要視する企業文化により,各自が競って自分の成果をまとめる.そのようにして,実際に仕事をしている従業員がマニュアルを作成している.ISOのために準備したマニュアルよりも,ずっと血の通ったマニュアルになる.

原田総経理指導語録
SOLID社には,総経理秘書が,2代にわたって原田氏の指導内容を記録した「原田総経理指導語録」がある.これも原田氏の指示で作ったものではない.秘書自らの意思で記録したものだ.
原田氏が何をどう指導したかをまとめることにより,その意味をより深く考察することになる.そして指導現場に立ち会っていない者も,その知識を共有することが出来る.個人の知識,経験を組織の知識,経験として蓄積することになる.

始まりは日記
この様な記録する文化を組織風土とするために,新入社員は,毎日日記を書くことが義務付けられている.ただ日記を書きなさいと指示をしても,簡単には出来ない.毎日継続させるために,日記を直属の監督者に見せることになっている.
日記を書くことにより,新しく覚えた仕事,心の変化を記録することになる.日記を書く作業は,自己成長を確認することだ.
そして監督者は,新人の日記に対し必ずコメントを書く.このコメントは,新人が正しい方向に成長することを促進し,その成長を承認することになる.
この交換日記を3ヶ月続けることにより,日記を書くことが習慣になる.ただ日記を書くだけの習慣ではない.一日の仕事を振り返り,明日の計画を考えると言う習慣が身に付く.ただ漫然と日々を過ごすのではなく,成長を促進する習慣だ.
日記に書く内容には,ルールがある.嫌なこと,他人・組織に対する不満は書いてはいけないことになっている.不満を押さえつけるためではない.不満がノートに残り,潜在意識に残るからだ.
人は意識・潜在意識にあることしか達成できない.組織や他人に対する不満は他責だ.原因を他責とすれば改善することは出来ない.ただ言い訳をするだけになる.成長とは,自分が変わることだ.自分に起こる事全ての原因を自責とすることにより改善が可能となり,自分を変えることが出来る.


本コラムは香港,中国華南地区で発行されている月刊ビジネス雑誌「華南マンスリー」2011年5月号に寄稿したコラムです.

原田式経営哲学勉強会を開催しています.
詳細は,ブログ:原田式経営哲学をご参照ください.




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