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罰金制度

 中国で工場経営をしておられる方々と会話する時に,しばしば「罰金制度」に関する話題が出る.日本ではあまり聞かないが,中国の工場では,つばを吐いたら50元,遅刻は10元など事細かく罰金が決めてあることがある.

「躾」の要素もあるのだろうが,業務に関しても罰金を決めてある.
不良が発生したら,その不良の責任部署に対して罰金をする.部門長と,部門全員に罰金が科せられる.

好ましくない行動に対して罰金をすることにより,好ましくない行動を減らす.
好ましい行動に対して褒賞を与えることにより,好ましい行動を増やす.

いわゆる「飴と鞭」の政策だ.
ほとんどの工場の罰金制度は,「飴なし鞭」政策になっている.
飴はあっても,年に一度模範従業員として表彰されるだけ.金一封も付くが,全従業員の中のほんの一握りだけ,忘れた頃に貰っても効果は薄い.

これでは「飴と鞭」とは言い難く,罰金による恐怖統治だ.

不良発生に対する罰金は,私に言わせれば,全く効果はない.
以前経験した事例では,作業員がミスをして不良を発生させたので,罰金を科料したいと班長さんが申請書類をあげていた.
わざとミスをする作業員がいるのであれば,罰金など科すよりもクビにすべきだ.
しかしそんな作業員はいない.ミスが出ない様に,作業方法を工夫したり,作業員を指導するのが,班長の仕事だ.罰金科料申請書を書く暇があったら,改善しろと言いたくなる.

最悪なのは,不良が発生した時に誰の責任なのかを追及するだけとなり,再発防止の議論が起きない事だ.
罰金を払わなければいけないので,当然自分の非は認めない.問題の原因を明らかにする事は非常に困難となる.

其の様な状況で,部門間の協力体制が出来るとは思えない.
不適合是正には,部門間の協調が必要となる.

例えば作業者が単純ミスをして客先に不良品を出荷してしまった.
この様な状況では,製造部門と検査部門に罰金が科せられる.
ミスをした作業員に罰金を科した所で,別の作業員がミスをする可能性は無くならない.検査員を注意しても不良を見逃す可能性は無くならない.

本当に不良を無くしたいのならば,ミスが発生しない様に設計を変更する,又は作業員によってバラツキが出ない様に治具化する,など製造部門以外の助けがなければ効果は期待出来ない.

罰金制度によって,この様な協調性が損なわれる.

鞭を使っても,不良は減らない.
飴を与えても,モチベーションは上がらない.

ダニエル・ピンクの「モチベーション3.0」を持ち出すまでもなく,罰金制度は百害あって一利無しだと思っている.

参考文献:
「モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか」
著者:ダニエル・ピンク

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